日々是劇評
関東圏内で観てきた舞台について率直に感想を書いています。自分用の観劇備忘録みたいなもんなんで遠慮なく辛口な批評もしています。
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The Dusty Walls 「スペース合コン&スペース合コン BEYOND」
【作・演出】
瀬戸宏一
【キャスト】
スペース合コン:
三井智映子、後藤和、鈴木亜里紗、鈴木若菜、岡崎恵、
小松金太郎、西郷豊、佐倉一芯、小林達明、横田裕市、
大門嵩、池村匡紀、松田輝一、アンソニー
スペース合コン BEYOND:
西郷豊、佐倉一芯、小林達明、小松金太郎、池村匡紀、
松田輝一、大門嵩、横田裕市、後藤和、坂本大河、菅山望、
丹羽隆博、林愛子、辻明佳、瀬戸宏一、G.V.ハイジマン、
鈴木亜里紗、千行星、岡崎恵、泊ヶ山まりな、佐々木実来、
鈴木若菜、三井智映子
【日程】
2013年2月16日(土)~25日(月)
【会場】
王子小劇場
【チケット料金】
前売券 3,800円
当日券 4,300円
セット券 7,000円
リピーター割引 3,500円
【公式HP】
http://the-dusty-walls.net/
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2年前に上演された「スペース合コン」の再演と、
その続編「スペース合コン BEYOND」との同時上演。
それぞれ90分程度のドタバタコメディー。
「スペース合コン」は、
男が絶滅して女性だけになってしまった星の人間と、
女が絶滅して男性だけになってしまった星の人間が
それぞれ種の保存のために、相手を自分の母星にお持ち帰りすべく、
様々な作戦を立てて合コンに挑むお話。
「スペース合コン BEYOND」はそれから数年後のお話で、
いまだ女性を求めて旅する男性たちが、
セレブ合コンをしたがっている女王の話に身分を偽って乗っかり、
そこにゲームの中の住人が絡んできたりしてドタバタやりつつも、
最終的に本当の愛を知る、みたいなお話。
2本とも観たが、どちらも普通に面白かった。
まず「スペース合コン」だが、お互いに異性に対して全く知識がなく、
過去のデータベースを参考にしたりするのだがそれがズレていたりして、
そこからくるいろんなすれ違いが非常に面白い。
間違った異性の知識に翻弄される若者達の描き方が秀逸。
ドタバタコメディの絶対必要条件は「登場人物が一生懸命生きていること」だと自分は思う。
人からみたらおかしな行動でも、当の本人達は大真面目で、一生懸命がんばっている。
でも残念ながら常識から少しだけズレているため、はちゃめちゃな状況になってしまう、
見ている側からすれば、その一生懸命さのすれ違いが滑稽で笑えるのだ。
その点でみれば、脚本の時点で「種の存続をかけて合コンに臨む」という設定があるので
登場人物各々の一生懸命さが滲み出ていて面白い展開になっていたと思う。
最終的に「種の保存」という目的に溺れ「愛する」という過程が欠如していたことに気付き、
それに目覚めて登場人物全員が各々キスして終了という、
シンプルでそれでいて深いような、そんな終わり方も好感が持てた。
次に「スペース合コン BEYOND」だが、
「スペース合コン」が霞むぐらいにレベルが高くて面白かった。
とにかく主要キャラの個性がハンパない。
男性キャストは前作からほぼ引き継いで同じ役なのだが、
それぞれ個性がかなり際立たされており、新キャラもかなり濃い。
特にダーティーさが格段に増した男艦長と女王ツボーネは夢に出るレベルである(笑)
こちらもいろんな思惑がいろんなすれ違いをしてドタバタして、
最終的にはやっぱり愛に目覚めて全員キスして終わりという、
前作を踏襲したスッキリした終わり方だった。
2作とも観たときに、圧倒的に「スペース合コン BEYOND」のほうが面白かった。
客席の笑い声から感じる限りでは、おそらく両方観た誰もがそういう感想を抱くと思う。
その主な原因は女性キャストの発声の甘さであろう。
出演していた女性陣は声のシャープさに欠けていて、
声量はあるのに何言ってるかわかんないキャストが多かった。
「スペース合コン」はしゃべっているセリフ内容の面白さ、つまりテキスト的な面白さ、
「BEYOND」はシチュエーションやアクションなどの視覚的な面白さの比重が高かったと思う。
どちらの作品もめまぐるしい早口テンポで展開するのだが、
テキスト的な面白さの比重が高い「スペース合コン」においては
聞き取りづらいセリフの存在はかなりマイナスに働いていた。
セリフをお客にいちいち脳内補完させてしまっていては、笑ってもらえない。
特に「スペース合コン」は冒頭から女性だけの会話のシーンが多いので、
導入部分でお客をしっかり引き込めていなかったのは、ちょっと惜しいなと思った。
逆に「BEYOND」においては話のメインに絡む役者は男性が多くて、
なおかつ視覚的で頭を使わなくても笑えるネタが多かったため素直に入っていくことができた。
セリフの聞き取りやすさで、全体の印象がここまで変わるんだなと再確認。
やっぱり基本って本当に大事なことだと思う。
2本とも「BEYOND」並のクオリティだったなら良かったが、
「スペース合コン」単体で観たら3,800円はちょっと高いかもしれない。
初演よりチケット代が倍近く高くなっているのも気になる点。
なんだろうね、大人の事情ってやつ?
でも間違いなく最近の小劇場界では力を感じる団体である。
今後もどんどん発展させて、質の良いコメディを作り上げていってもらいたい。
アトリエ・ダンカン プロデュース 「教授」
【原作】
五木寛之著: わが人生の歌がたり
【脚本構成・演出】
鈴木勝秀
【キャスト】
椎名桔平、田中麗奈、高橋一生、岡田浩暉、坂田聡、伊達暁、佐々木喜英、上條恒彦、中村中
【日替わりトークゲスト】
中尾ミエ、木の実ナナ、佐々木喜英、鈴木雅之、山崎ハコ、元ちとせ、園まり、
坂井邦先、由紀さおり、松原健之、クミコ、加藤登紀子、五木寛之、石井一孝、
山崎育三郎、一青窈、ジェロ、尾藤イサオ、岡田浩暉、上條恒彦
【日程】
2013年
2月7日(木)~24日(日) 全22回公演
【会場】
シアターコクーン
【チケット料金】
S席 8,500円
A席 7,000円
コクーンシート 5,000円
【公式HP】
http://www.duncan.co.jp/web/stage/professor/
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時代は1960年代の、安保闘争や労働争議が活発な日本。
学生運動の騒動から逃げてきた2人の学生が逃げ込んだ部屋、
それは寄生虫の研究をする変わり者の大学教授(椎名桔平)だった。
彼の展開する持論に引かれた学生(田中麗奈)は
その後、その研究室に入って彼の元で助手として働くことになる。
教授に淡い想いを描きながらもその想いはなかなか届かない。
一方で教授は、過去に戦死した親友から恋人を奪ってしまったことを悔やみ、
寄生虫を体内に飼うことで死を近づけ続けている。
高度経済成長期のめまぐりしく変わる環境の中、
いろんな人間関係が絡んだ切なくも愛おしい物語。
まぁ、ざっくり言うとそんな感じのお芝居。
舞台奥の壁にはピアノのオケスペースが設置されていて、
劇中では中村中が生演奏で歌と伴奏を披露してくれていた。
あと手前は基本的に平舞台で、移動可能な寄生虫標本の棚が3つと、
イス代わりの箱がいくつか。
非常にシンプルな舞台だ。
自分は原作を読んでいないので、元々そういう構成の話なのか、
それとも鈴木勝秀氏が今回構成したのかわからないが、
序盤の安保闘争についての主張の話がとにかくしんどかった。
長いし、くどいし、感情に任せすぎていて、聞いていてひたすら疲れる。
演劇作品の冒頭シーンからいきなりコレをやるのはどうかと思った。
お客としては別にアジ演説を聞きに劇場にきたわけじゃないんだが・・・(汗)
観たいのは安保闘争の中で揺れ動く人間の感情であって、
安保闘争の解説ではない。
話が進んで、躍動感ある男性陣のシーンになるとかなり持ち直し、
他のお客もそのあたりから舞台に引き込まれていったように感じる。
椎名桔平、坂田聡、上条恒彦あたりの砕けてナチュラルなのに、
それでいて味のある演技には好感を持つ。
ただ、そのあたりから気になり始めたのは場転。
舞台上にある大きな棚をいろんな配置に変えて場転を表現しているのだが、
さっきと違うってだけでその棚の配置にまったく意味を見出せないし、
ブルーライト暗転で役者がもたもた動かす意味もわからない。
しかもそのとき流れているBGMはまるで電波があわないラジオのノイズのような耳障りな音。
何を意図してこういう場転にしたのか全く理解できなかった。
終演後にロビーを出るまでに雑踏の中でいろんな感想を耳にしたが、
みな口を揃えて「あの雑音は何?」ってことばかり言っていた。
うーん、せっかくピアノのオケがあって、作品テーマに昭和歌謡が含まれているんだから
何かしら演奏するとか歌うとかの場転でいいと思うのだが・・・。
なんであんな風にしてしまったのだろう。
話が終盤に入ると、助手の告白があったり、
教授の息子が教授に対して殺意を持って現れたり、
いろいろと展開はするが、まぁベタにうまくいってチャンチャンって感じの終わり方。
最近ひねくれた展開をする芝居を観すぎたせいか、ちょっと物足りなく感じてしまった。
まぁ、ベタでもいいんだけどね(笑)
あ、あと椎名桔平がキャスティングとして、ちょっと若過ぎると思ったのは自分だけ?
年齢を上げるようなメイクはある程度していたんだろうけども、2階席から観るとまったく見えないから、
劇中で歳の差を話題にする話になったときなんかに違和感を覚えてしまった。
だって立ち姿からだけだと、フレッシュでしっかりしてるように見えるから(笑)
全体的にみると、悪くないけど別に良くもないかな、みたいな感じ。
そんな漠然とした感想を持ってしまった。
椎名桔平や田中麗奈は熱演だったと思うし、ノスタルジックな空気もいい感じだったけど・・・
なんだか心はあまり揺さぶられなかった。
内容的にも、もしかしたらコクーンのような大劇場より
小劇場でやったほうがいいタイプの芝居なのかもしれない。
それだと抱いた感想も全然変わったかも。
いと、まほろば 「もうひとつのOVER THE MONOCHROME RAINBOW」
【原作】
福田裕彦
【構成・演出】
高坂雄貴
【キャスト】
高坂雄貴、栗山良介、齋藤弘樹、大山武史、安見謙一郎(UDATSU)、平井永恵、
宮内結、本多薙尋、山梨谷梨(劇団ビタミン大使ABC)、高橋笑里(UDATSU)、
新川泉、藤崎奈央、白石トモコ、久世卓矢、鈴木アルマルベス僚、
菱沼優衣(演劇集団THE素倶楽夢)、森サチ子
【日程】
2013年2月15日(金)~17日(日)
【会場】
川崎ラゾーナプラザソル
【チケット料金】
一般 3000円
川崎市民・川崎インキュベーター割引 2500円
高校生以下、65歳以上 2000円
(それぞれ当日500円増し)
【公式HP】
いと、まほろば本営
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浜田省吾のゲーム「OVER THE MONOCHROME RAINBOW」を舞台化。
カラオケで浜田省吾を歌っていたら何故か異世界に召還されてしまう。
異世界では勇者ハマダショウゴを呼び寄せたつもりだったが、
実際呼び寄せられたのはただの浜田省吾ファン。
いろんなアニメやマンガのネタが散りばめられた世界をファンが冒険して
巨大な魔物を歌で退治して、めでたしめでたしって感じのお話。
あらすじとしては超ざっくりだが、まぁ大体こんな感じである。
うーん、かなり型破りのコント芝居。
ストーリー的には前述したとおり、異世界に呼び出された1人の男がその世界を歌で救うってだけで、
それ以外はコント詰め合わせみたいな内容の90分だった。
コントとしてのクオリティはちょっと微妙かな。
笑えるところと笑えないところが半々の、それぐらいのクオリティ。
ローラの物真似とラーメン次郎ネタはなかなか面白かったが。
しかしさすがにアニメネタが多過ぎた。
幽遊白書ネタが非常に多く、あとは機動戦士ガンダム、ドラゴンボール、名探偵コナンなどなど。
ナウシカのクシャナらしきものもいたかな?
あとゲームのストリートファイターとか。
自分はそこそこアニメやゲームもついていけるほうだと思うが、
それでもきょとんとしてしまうネタはたくさんあった。
普通の観劇客は果たしてどこまでついていけていたのであろうか?
そういったアニメネタに加えて内輪ネタも多数。
一部のお客だけがそれに爆笑して、その周りは引いてしまっているような状況になっていた。
お客にとって自分がわからないネタを放り込まれるってのは、非常に嫌なものだと思う。
だってそれって「わからない人は知らん!わかる人だけわかればいい!」ってことだもの。
お金払って観に来てるのに、自分が客として無視されてるみたいで嫌悪感を抱いてしまう。
もちろん100%のお客が理解できるネタなんてのは理想論でしかないが、
せめて「だいたいの人が分かるレベル」のものをやってほしい。
観に来ているお客は「アニメオタ向け」とは全く聞かされていないのだから。
もしマニアックなネタで勝負していきたいなら、
公演タイトルもチラシの宣伝文句もそういうことがわかるものにするべきではないだろうか。
マニアックな客層のみを集めて、そのお客が楽しめるのであれば、
それはちゃんとイベント事業として成立するわけだし。
「OVER THE MONOCHROME RAINBOW」を期待して観に来たら
内容はアニメネタ満載の幽遊白書だった、ってのはやっぱり頂けない(苦笑)
ウケる客層が極端に狭いが、面白いことをやっているとは思う。
しかしそれだけに宣伝方法を間違えるとお客を大きく裏切りかねないジャンル。
そのへんをどううまくやっていくかが問題かなと感じた。