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日々是劇評

関東圏内で観てきた舞台について率直に感想を書いています。
 自分用の観劇備忘録みたいなもんなんで遠慮なく辛口な批評もしています。
※サイト移転しました。

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kanikusoPRESENTSオムニバス公演#2 「秋のき、冬のゆ。」

【作・演出】
迫田元

【キャスト】
谷村好一(エムアール)、永野和宏(劇団新人会)、賢茂エイジ(さるしげろっく)、
今若孝浩、小島啓寿、串山麻衣、天晴一之丞(水色革命)、太田勝(猿芝居)、
藤井紅葉(映像。舞台企画集団ハルベリー)、里中あや(ナインズプロモーション)、
戸草内淳基(加速装置)、神崎ゆい、瑞樹カンナ、小林知未(多少婦人)、
渡辺祐未(立花演劇研究所)

【日程】
2013年2月27日(水)~3月3日(日)

【会場】
上野ストアハウス

【チケット料金】
前売 3,000円
当日 3,200円

【公式HP】
http://www.kanikuso.net/

==================================

オムニバス2本立てで、
両方とも面白おかしく仕立てたドタバタコメディ。

1本目はとある会社の面接会場。
極度の緊張症の男、銀座のママ、滑舌が悪い成金男、真面目な姉妹などが
面接官が投げかける素行調査のような質問に応えていき、
マイナス査定の人間は強制的に別室に連れて行かれる。
劇中でほとんどお客には設定の説明がないが、
ラストシーンで、実は事故に巻き込まれて生死の境を彷徨っている人の面接で、
合格であれば生の世界に帰れるというものだったことがわかる。

2本目は1本目の会社の別室のお話。
そこは会議室で、次の大きな案件のプランについての話し合いがされている。
レッドプランとブループラン、どっちにするか決断を迫られるが、
優柔不断の社長はまったく決められず、皆やきもきする。

途中で案件を引き受けること自体のリスクが判明し、
社員達は皆その案件を断る方向で進めるよう社長に勧めるが、
普段は優柔不断な社長がそれだけは頑なに拒否。
実はその案件のクライアントは社長の娘だった。
社長の想いを知った社員は一致団結してその案件に取り組む。


超ざっくりだが、だいたいあらすじはこんな感じ。


1本目は見ていてちょっと暑苦しかったかな。
全体的に役者が狙い過ぎている感が出ていて、逆に笑えなくなってしまっていた。
登場人物として真面目に面白いことをしないとコメディは成立しない。
バラエティ番組のひな壇芸人みたいな安いボケとツッコミは舞台ではやってほしくない。

あと最初に面接を受けていた3人、ちょっとバランスが悪過ぎると思う。
ドモって上手くしゃべれないキャラと滑舌が悪くて聞き取れないキャラが同時に出てくるってのは、
ネタ的には殺し合ってるだけだし、シーンのテンポが極端に悪くなる。
銀座のママは何の色もついていなくて、正直この脚本上での存在意義がわからないし。
お客の心を掴む導入部分でこの組み合わせはなんだかなぁと思った。

さらに話の構成に起伏がない。
5人面接して、それぞれ個性的なキャラをみせて、実はこの面接の正体はこんなでした、って
ただそれだけの展開しかしないので、話の盛り上がりがほとんどないのだ。
淡々と順番に小ネタ混ぜながら面接シーンみせてもお客的には見ていて何もワクワクしない。
もうちょっと構成面、なんとかならなかったものか。


次に2本目。
逆にこの2本目はびっくりするぐらいに秀逸だった。

まず役者の力量が圧倒的にこちらのほうが上だし、
テキストそのものもかなり面白い。
どこまでが脚本で、どこまでが役者が提示したものなのかわからないが、
非常にテンポが良くて質の高いネタの応酬は見ていて気持ちがいいものだ。
お笑いをちゃんとわかってる人がしっかり作った芝居って感じ。

特に谷村好一演じる社長のおじいちゃん的なおもしろ可愛さは素晴らしい。
天晴一之丞の特異なルックスと濃いキャラクターには常に目を奪われるし、
太田勝のつっこみのトーンも非常に面白い(つっこみは声質が重要な要素だと思っているので)。

笑わせるだけ笑わせておいて、
最後にレッドとブルーが何を意味するかわかるところでお客をほっこりさせる。
とても素敵な家族愛溢れるお芝居だった。


この2本立てのオムニバス公演。
おそらくこの2本目がやりたくて、1本目を後から伏線として作り上げたのだと思われる。
そのせいで1本目は一貫したテーマが見えない、
笑いに走っただけのコントになってしまったのではないだろうか。
要素の詰め込みはもちろんよくないが、
1本目にも十分にお客の心を揺さぶるテーマを盛り込んでほしかった。

しかし2本目は本当に素晴らしい出来だったと思う。
人材を集める力もあるようだし、これからにも期待したい。

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カプセル兵団 「DUST SHOOTERS ~ダストシューターズ~」

【作・演出】
吉久直志

【キャスト】
吉久直志、長沢美樹(劇団ヘロヘロQカムパニー/アトミックモンキー)、周晴奈、
北出浩二(teamSPITFIRE)、こぶしのぶゆき(賢プロダクション)、青木清四郎、
遠藤公太朗、林智子(劇団ヘロヘロQカムパニー)、石神まゆみ、片山健(aflowtroupe~空~)、
林潔、瀬谷和弘、工藤沙緒梨、庄章子、小林美穂、中山泰香、矢島慎之介、
森澤碧音(DancecompanyMKMDC)、松岡美那、水野菜月、松本一平(ツラヌキ怪賊団)、
神里まつり、鶴家一仁、浦濱里奈、蓮岡沙羅

【日程】
2013年2月28日(木)~3月3日(日)

【会場】
笹塚ファクトリー

【チケット料金】
前売 3500円
当日 3,800円
※平日マチネは500円引き
※学生は1,000円引き

【公式HP】
http://www.kapselheidan.com/

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宇宙を駆ける賞金稼ぎダストシューター3人組。

政府の軍艦からの救援信号を受けてその救助にいってみるが、
船内で現れたのは銀色のスライムのような化け物だった。
銃が効かない不死身の化け物の前に絶体絶命の彼らだったが、
そこに500年前に伝説になった賞金稼ぎレイラが現れ一緒に脱出することに。

化け物の正体は細胞実験事故により変異してしまったレイラの元恋人だった。
レイラはその責任を取って自らにも不死身の細胞を植えて戦っていた。

化け物を軍事力として利用しようとする政府軍、
レイラの味方のふりをして全てを手に入れようとする植物系宇宙人。
様々な思惑の中でレイラは化け物となった恋人と一体化して
永遠に一緒になるという選択肢を選ぶ。

ダストシューターたちはレイラの気持ちを汲み取り、
人工的にブラックホールを作り出してその中に化け物を閉じ込めることに成功、
そしてまた新たな宇宙を目指して旅に出る。


ストーリー的にはだいたいこんな感じ。

カプセル兵団が得意とする「ビジュアルイマジネーション演出」は、
舞台上で役者達が自身の肉体で全てのセットやその状況を
スピーディーかつパワフルに表現するもの。

冒頭から巨大戦艦を組体操のような人間の塊で作り上げ、
漂流船の回収や、そこに突っ込んでいく小型船など、全て人間の体によって表現している。
ここの芝居を初めて観るお客にとっては衝撃的な演出であろう。
鮮やかな芸術性を持ちながらもどこかギャグチックな、非常に独特な演出。
自分はここの芝居を何度か観ているが、いつ観ても面白い表現方法だと思う。


しかし今回の作品の出来には苦言を呈さずにはいられない。


まず脚本についてだが、一言でいうと面白くない。
アクション主体のSFモノを描くにあたって、おそらくあえてシンプルな話にしているのだろうが、
それにしてもひねりがなさ過ぎて、展開がほぼ予測できてしまう。
レイラと化け物の関係も、植物系宇宙人が裏切ることも、化け物の倒し方も、
ストーリーの肝部分があまりに予想できるベタ展開すぎて、
「話の先を知りたい!」というワクワクした気持ちがほとんど生まれなかった。
試合結果知ってるサッカー放送観てるような、そんな感覚。

緊迫した展開になって盛り上がってきたと思ったら、息抜きみたいなシーンが入るのもマイナス。
盛り上がりっぱなしだと観ている方も疲れるという意見をよく聞くが、
こういったジャンルの2時間芝居なら、息抜きなしで突っ走ったほうがいいように自分は思う。
緊迫と息抜きを繰り返されるほうがかえって疲れてしまう。


次に魅力的な役者の不在。
ダストシューターの男2人、救出された整備兵、植物系宇宙人あたりは
それぞれ個性が強くセンスも良くて面白いのだが、
そのほか、特に女性陣の層の薄さが目立った。
引っ張る人間が不在のシーンが多くて、
観ていて気持ちが切れてしまう時間がけっこうあった。

レイラも悪くはないのだが、いま一歩魅力的には映らなかったため共感できず、
感動するはずのラストシーンではあまり心が揺さぶられなかった。


あとミスの多さ。
役者がとにかくセリフをトチる。
SEとセリフがかぶる。

これだけ密度が濃くてきっかけも多い芝居だから
小屋入りしてから本番までそれはそれは忙しいであろう。
しかしそれは観るお客にとっては関係がない話。
芝居はナマモノであるから多少のミスはあるものと思っているが、
今回のミスの多さはさすがに許容範囲外であった。
ミスが出るたびに客席の温度が1度下がる。


最後にこれは個人的に気にかかった点なのだが、
ダンスパフォーマーの森澤碧音が目立ち過ぎている気がした。
表現が個として見事過ぎて、フォーカスを奪うのだ。

全体をぼやっと眺めてシーンを眺めていると、必ず目線が彼女にいく。
それは彼女の実力がズバ抜けて高い故のことなのだが、
重要なセリフを吐いている役者よりもその横で踊っている彼女に目がいってしまうのは
芝居全体として観た時にはやはりマイナスであろう。
もちろん彼女が悪いわけではなく、周りに問題があるのだが。


うーん、

なんだかマイナスな点を挙げ始めるとずらずら書いてしまうが、
このカプセル兵団は個人的には好きな団体であるし、
今回の作品もそのへんの劇団の作品に比べればよっぽどおもしろいのだ。

しかし、過去にカプセル兵団はもっともっと面白いものを自分に観せてくれている。
自分が好きなモノには右下がりになってほしくない。

映画が3DになりフルCGも当たり前になっていく時代で、
演劇の進化も必須と考えてそれを目指している集団。
是非とも右上がりに進化して、最高の作品を作り上げてくれることを期待したい。

P.S.
悪い点ばっかり書いてしまった気がするので好きだった点も書いとく(笑)
ラストの巨大戦艦内部に小型機で突っ込んでエンジンを破壊するシーンは、
まるでスターウォーズのデススター戦のようで本当に圧巻だった。
ゾクゾクして鳥肌モノ。
2時間通してこのクオリティのシーンが続けば良かったなぁ。





劇団扉座第52回公演 「つか版・忠臣蔵 スカイツリー篇 Returns」

【原作】
つかこうへい

【脚本・演出】
横内謙介

【キャスト】
山本亨、武田義晴、掛札拓郎、岡森諦、中原三千代、伴美奈子、犬飼淳治、
高橋麻理、累央、鈴木利典、上原健太、川西佑佳、江原由夏、上土井敦、
新原武、串間保彦、藤本貴行、江花実里、吉田有希、松本亮、松原海児、
高嶋綾香、野田翔太、比嘉奈津子、酒寄拓、久保田芽衣、

【日程】
2013年
2月19日(火)~3月3日(日)

【会場】
すみだパークスタジオ

【チケット料金】
前売券 3000円
当日券 3500円
学生券 2500円
墨田区民割引 前売2500円/当日3000円

【公式ホームページ】
http://www.tobiraza.co.jp/index.html

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故・つかこうへいの名作を扉座の横内謙介が再構築。
つか作品の常連であった山本亨や武田義晴を客演に迎えて
つかこうへいをオマージュしつつも独自の作品を作り上げている。

物語は主人公・宝井其角が近松門左衛門に出会うところから。
自分で裏工作を仕組んで民衆を操り事件を起こし、
それをいち早く舞台化することによって話題をかっさらおうという
提案を近松から受けて、それを引き受ける其角。

其角が事を大きくするのは松の廊下での刃傷沙汰事件。
吉良上野介が寛大なために大した事件として騒がれていなかったその事件を、
うまく騒ぎ立てて吉良上野介を仇討つべき敵に仕立て、
皆に討ち入りを起こすように促す。

しかしそのはずが、実は浅井内匠頭の妻の阿久利は其角の元恋人。
内匠頭の切腹後、赤穂の土地と民を守ろうと必死に奔走する阿久利。
しかし其角の筋書き通りに討ち入りが起これば赤穂は滅びる。

赤穂の為に自分の身を犠牲にして変態公家に嫁に行く阿久利。
赤穂の事よりも阿久利のためにそれを阻止したい其角と赤穂浪士達。
阿久利に忠誠を誓うが故にその行動を止められない大石内蔵介。
いろんな思いが交錯する中で、藩士達の決意表明や大石説得が行われ、
ついには討ち入りが決行、阿久利の奪還に成功する。
しかしそこで其角を待っていた結末は・・・。


といった感じのお話。
人間関係が複雑な話だとあらすじって書きづらい(汗)


松任谷由実「リフレインが叫んでる」を主題歌として起用し、
ド派手な照明と爆音の音響効果、激しいマイクパフォーマンス、
早口でまくし立てながらも客席に面を切ってしゃべる役者の演技スタイル。
全てがつかこうへいをリスペクトして作られているなという印象を受けた。
役者は皆汗だくのツバ飛ばしまくりで怒涛のテンション(笑)

そのクオリティはもうさすがとしかいいようがない。
面白い脚本、考え抜かれた演出、実力のある役者、これらを全て揃えれば
ここまで見事な芝居ができるんだよというお手本のような作品。

其角と近松の長ゼリフの掛け合いは見事だし、
吉良上野介のテンションの起伏が激しい怪演は笑わずにはいられないし、
何より赤穂藩士たちそれぞれの泥臭い生き様が美しくてしかたない。

そんな魅力ある人々が各々の決意で立ち上がり、討ち入りに臨む。
そこで「リフレインが叫んでる」がかかったときには鳥肌が立った。
これからしばらくはこの曲を耳にするたびに
「・・・!」って感傷的な想いになってしまいそうだ(笑)

また随所随所でみられる、他のつか作品オマージュも良かった。
座っている人間を花束で殴りつける(熱海殺人事件のワンシーン)など、
思わずニヤリとなってしまう仕掛けが多数。
ホント、ずるい演出だよ(笑)


観劇後にこれほど満足感と充実感が残った芝居は久しぶりかもしれない。
「ほんとにこれチケット代3000円でいいの?」と疑ってしまった。
軽く倍の価値は十分にある作品といっていい。

力のあった劇団が次々なくなっていく世知辛い昨今だが、
この扉座にはいつまでも活躍していてもらいたい。





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