日々是劇評
関東圏内で観てきた舞台について率直に感想を書いています。自分用の観劇備忘録みたいなもんなんで遠慮なく辛口な批評もしています。
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劇団IQ5000 「Mr.VeryGoodMan」
【作・演出】
腹筋善之介
【キャスト】
朝田博之、アフリカン寺越、五十嵐聡子、大友美香子、久保田寛子、坂本泰久、佐治彩子、
ドン・タクヤ、巴里マリエ、べっち。、マット前転、渡部愛、大西俊貴(IsLand☆12)、
奥田美樹(IsLand☆12)、上高原佳子(IsLand☆12)、腹筋善之介
【日程】
2013年3月6日(水)~3月10日(日)
【会場】
中野ウエストエンド
【料金】
前売 3,000円
当日 3,200円
学生 1,500円(前売・当日共)
【公式HP】
http://www.iq5000.com
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クラウド・アイランドという世間から隔離された離島での物語。
海流で完全に外界から遮断されたその島では
心豊かな人々が、食や音楽を育みながら平和に暮らしていた。
ミスター・ベリー・グッドマンと呼ばれる男もその1人。
彼は誰よりも優しく、誰よりも島を愛しており、
島の人々もそんな彼を愛していた。
しかし1人の男が島に漂着してから状況が一変してしまう。
ドンという名のその男は実は海賊で、
島に石ころのように転がっているダイヤの原石を狙ってやってきたのだった。
ドンは邪魔な存在であるベリー・グッドマンを陥れ、孤立させる。
そして甘い言葉で島民をだまして島の外へ連れ出そうとする。
ドンの企みに気付いたベリー・グッドマンは街の人々を守るべくその体を張って・・・
といった感じのお話だった。
開演前には作・演出の腹筋善之介が島のDJとして舞台に立ち、
ラジオ放送のワンコーナーという設定でトークを繰り広げている。
そのトーク力はさすがで、開演前にキッチリと客席を温めてることに成功していた。
この空気からスタートできるのは演者にとってかなり嬉しいことだろう。
最初は島の人間の自己紹介も兼ねた、
ヘビメタバンドとベリー・グッドマンの対決シーン。
しかし叫び・がなり系の発声をする役者が多くてセリフがかなり聞き取りづらかった。
せっかく客席が温まった状況からスタートしてるのにこれはもったいない。
ストーリの導入部はもっと丁寧にやってほしいなと思った。
中盤にかかるとシーンが落ち着いてきたこともあって格段に見やすくなり、
物語に一気に引きこまれていった。
この団体は素舞台で小道具も使用せずに
全て役者の身体やそのフォーメーションで表現するのがウリなのだが、
いま思うと、序盤はその怒涛のように繰り広げられる表現に
自分の脳がついていけていなかったのかもしれない。
中盤ぐらいから見やすくなったのは、その表現を脳内変換することに馴れていったからなのかも。
わかりやすいけどそれでいて伏線たっぷりの脚本は非常に面白い。
登場人物も、とにかくみんなアホなのだが、みんなそれ以上に魅力的だった。
彼らが一生懸命になっている姿は観ているお客の心を揺り動かし、
自然と応援したくなる気持ちにさせてくれる。
あとは音楽の使い方も秀逸だったと思う。
無駄にたくさんの曲を用意せず、メインテーマ数曲を繰り返し使用することによって、
お客の脳に対して、そのシーンのテンションの在り方の刷り込みができているのだ。
後半はベリー・グッドマンのテーマがかかるたびに心が躍っていたのは自分だけではないと思う。
最後もほっこりとした気持ちで終われる温かい結末だった。
終演時にお客をこういう気持ちにさせるってのは大事なこと。
次回公演も楽しみにしたい。
P.S.
あ、ひとつ気になったのだが、劇中に捨てギャグが多かったこと。
つまらないとかスベッてるとかそういうのじゃなくて、
「最初から笑わせる気がなさそうなネタ」がちょこちょこ目についた。
これってどういう意図で入れてるんだろうか?
第5回川崎インキュベーター合同公演 「ブルーシートチルドレン」
【脚本】
河田唱子
【構成・演出】
笹浦暢大
【キャスト】
安藤友美、石井隆平、伊藤綾佳、伊藤優希(活人無双流 阿部道場 清龍館)、
梅岡寛正(劇団カンタービレ)、小山内詩音、小野諒人、鹿島夕雨生(劇団夢幻)、
木ノ下郁子、蔵重智(ライト・トラップ)、小林恵悟、佐藤みつよ(劇団夢幻)、
下宮悠(社団法人日本喜劇人協会)、田原慎太郎、天藤旭(メインキャスト)、
永塚拓馬、ナラハナミ(劇団夢幻)、成川友里子(チームトリプルY)、
林充晃(流星揚羽)、原尚治、比嘉哲也、ひとみまさこ、布施晃、
古川結衣(うっちゃり公演ほかす)、松崎夢乃、三木美毅(ミキミキ・コネクション)、
三森伸子、峯野友莉子(ワタナベエンターテイメントカレッジ)、
森田竜介(LINKentertainment)、柳田清孝、吉永麻美(19'プロデュース)、
和世レオ
【日替わりゲスト】
山崎涼子(Aling)、齋藤花恵
乾直樹、白髭真二、
福士綾弓、鈴木絢香(Dance Company MKMDC)
【日程】
2013年3月8日(木)~3月10日(日)
【会場】
ラゾーナ川崎プラザソル
【チケット料金】
前売・当日 3,000円
高校生以下及び65歳以上 2,000円
川崎市民割 2,500円
川崎インキュベーター会員割 2,500円
【公式ブログ】
http://blogs.yahoo.co.jp/siminngeki
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架空の川崎市を舞台にしたSFモノ。
「全ての市民は演劇の義務を負う」
「市の指定台本以外は上演不可」
「市民の演劇指導には特別高等警察が指導に当たる」
という条例を10年前に課せられた川崎市民。
条例制定時から活動を続けていた劇団ワタリダロケットだが、
オリジナルの台本でやりたいことを主張した看板女優が警察に捕まり、
劇団はボロボロになってしまう。
しかしなんとか公演をやり遂げるために劇団の脚本家と演出家は、
市民登録されていない難民、通称「ブルーシートチルドレン」を劇団に引き入れ、
公演に向けて稽古に励むことになる。
そして公演本番。
捕らわれ洗脳されてしまった看板女優を助けるべく
劇団ワタリダロケットは本来の脚本を書き換えて公演に臨む。
そのとき洗脳失敗により怒りの感情が増幅してしまった演劇指導官が暴走、
看板女優を連れて逃走する。
しかしその指導官の上官がそれを阻止し、劇団も市を出て活動していくことになり、
その後看板女優も洗脳から回復してハッピーエンド。
超ざっくり過ぎて怒られそうだが、だいたいこんな感じのあらすじだ。
去年もこの企画の公演を観ているが、
相変わらず照明の充実っぷりは素晴らしい。
使用されている灯体の数はハンパないし、
どうでもいいような小ネタなんかにもムービングを使用するという贅沢さ。
派手だし、その使い方のセンスも良いと思う。
音響は選曲センスは良いが、
殴り音などのSEがちょっとこもっている聞こえ方をしていて、コントっぽいかな。
いかにも「殴っているのでお決まりの効果音出してます」って感じに
なってしまっていたのが残念。
ダンスの使いどころや挿入の仕方も上手くて、
演出的な部分では十分過ぎるクオリティの作品だったと思う。
しかし演出手法に「おおっ」と感心する部分はあっても、
作品が面白かったか、面白くなかったで聞かれると、
それは後者だと答えざるを得ない。
どうしても脚本が好きになれなかったのだ。
何が気に入らなかったかというと、
登場人物たちに全く共感できなかったこと、これに尽きる。
まず設定の「演劇を市民に強要する」という条例だが、
それによって市民がどう良くなってどう悪くなったのかが
イマイチこちらに伝わってこないのだ。
「それってどれぐらい辛いことなの?」
「その条例で彼らはどんな不幸をこうむったの?」
このへんがぼんやりし過ぎている。
その条例によって人々がどういう状況になったのかが見えないため、
条例に抗う人々の想いがわからず、
それに共感しづらくて感情移入ができない。
「指定台本しか上演できない」という条例も同じ。
劇中の会話からすると指定台本でもかなり脚色が認められているようだし、
この条例が自由を迫害しているという感がいま一歩少ないため、
これも抗う人々の想いに共感しづらい。
しかもこの条例、所詮は市が決めた条例なので、
さっさとほかの市に引っ越せば問題ないのでは?、と思ってしまった。
表現の自由を求めるなら、自由がない土地で10年もがんばらなくてもいいじゃん(汗)
実際ラストも劇団は他の土地でやっていこうってエンディングだし。
最初からそうすればいいのに・・・。
ほかにツッコミどころを挙げると、
橋の下で過ごすブルーシートチルドレン達が
街で噂になるようなすごい演じ手っていうのもよくわからない。
生きていくために窃盗や詐欺を繰り返す貧しい孤児がなんで演技を?
彼らは演劇条例とか関係ない生き方してるはずなのでは?
まわりくどい条例を押し付けてきた市長の目的・動機もうーん、って感じだし、
洗脳装置「ブレインシェイカー」の存在意義もいまいちピンとこない。
洗脳失敗で暴走した指導官の行動の意味もよくわからない。
怒りの歯止めが利かなくなって、それで何の意図で看板女優連れて逃走したの?
ラストシーンを緊迫させて盛り上げるためだけに暴走させて
ラスボス化させたのかなって印象。
ブルーシートチルドレンから上納金を巻き上げていた男も、
金ヅルを奪われたことで警官に刃まで向ける意図が理解できない。
とにかく登場人物各々の行動動機(それが善であれ悪であれ)が
理解できないために、彼らがどんなに良い台詞を感情込めて吐いたところで
まったくこちらの心が揺さぶられないのだ。
これは脚本としてかなり痛いポイントだと思う。
(行動動機が比較的シンプルでのびのびと生きているブルーシートチルドレン達や
NPO、川辺の警官達には好感を持てたが)
あと暴力的な表現が多いのが気になった。
強者が弱者を一方的に殴ったり、罵声を浴びせたり、屈辱を味わわせたり。
この公演の趣旨をみる限りではお客は老若男女の幅広いライトな層が多いはずだ。
その層に観せる芝居としては、いささか乱暴な表現・演出が多過ぎたように思える。
特に気になったのが、看板女優役の女の子が顔を足で踏まれるシーン。
リアルに踏まれてたように見えたが・・・。
やるほうは「リアルを追求した役者根性の見せ所」と思うのかもしれないが、
お客に「あの人の役者根性すごいなぁ」と思わせた時点で、芝居は失敗だろう。
そのときお客はその人を「物語の登場人物」でなく、
「頑張ってる役者」としてしか見ていない。
あ、これは脚本じゃなく演出的な部分か。
うーん、
全体的にみると、物語の設定と展開だけに目がいってしまい、
「お客の心情をどうコントロールしていくか」という配慮に欠けた脚本だったように感じた。
ここでお客に状況を理解させ、しばらく緊張させて、一瞬だけ緩めて、
急に引っ張って、パターンを刷り込んだと思ったら裏切って・・・といった感じで、
お客の心を縦にも横にも揺さぶる仕掛けを計算高く入れてこそ、
初めて面白い脚本が完成すると自分は思っている。
いろいろ書いたが、良い部分もちゃんと持っている作品。
誰でも出演可能として演劇作品に参加する敷居を下げながらも、
ちゃんと質を追求する姿勢はみせている企画。
期待値が高いからこそ、こうしていろいろ書きたくなる。
次の作品に期待する。
開幕ペナントレース 「グレコローマンの休日 SEASON 2」
【作・演出】
村井雄
【キャスト】
高.ok.a.崎拓郎、大窪寧々、G.K.Masayuki、村井雄、
岩☆ロック、富田遊右紀、秋山慎治、浅川仁志、
田中文彬、山下修吾、山田マサル
【日程】
2013年2月28日(木)~3月3日(日)
【会場】
アサヒ・アートスクエア
【チケット料金】
前売 3,300円
当日 3,800円
【公式HP】
http://www.kaimakup.com/jp/
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ローマの休日をパロディにしたシュールコント作品。
レスリングのコスチュームをまとった10人ほどの筋肉質の男が
次々と摩訶不思議な世界観を表現する。
アサヒ・アートスクエアの中に丸いリングを1つ設置し、
役者はそのリング上に限らず、舞台下やキャットウォークを走り回って
多角的にパフォーマンスをしていた。
場内では常にスタッフがカメラを回していて、
その映像をリアルタイムで大きなモニターに表示。
客席などはとくに設置されておらず、
リングの下で自由に立ち見って感じのスタイル。
内容はかなりシュールだった。
金曜ロードショーのテーマを傘をラッパ代わりに口ジャミで歌い、
赤い鎧の武者がDJやったり、
大量のコインを投げつけられながら長い説明台詞を語り、
イスの上でだるまさんが転んだ的なことをしたり、
人間で列車を表現していちご狩りに出かけたり。
テーマや意味を考えてはいけない、
ただ頭をバカにして、目に映るものを感覚的に楽しむ、
そういう感じの作品。
別にそういう方向性自体はいいと思う。
エンタメに重々しいテーマは必要条件ではない。
ただ、それならちゃんと笑えるものをやってほしかった。
全体的にみんなで激しい動きをしながら叫ぶ、パワー押しのネタが多くて、
正直ネタとして面白いかと言われれば、そうでないものが大半だった。
ギャーギャー叫んで暴れて走り回って、
やってるほうはアドレナリンが出ていて楽しいかもしれないが、
見ているこっちは逆に冷めてしまう。
あとシーンが展開しなさ過ぎ。
同じネタ、同じ動きに長い尺を取り過ぎていて、見てるほうは飽きてしまう。
20秒で済ませれば面白かった動きを2分も3分も変化なく続けるからスベるのだ。
ネタをしつこくしつこく引っ張って、引っ張った先にとくにオチもなし。
これでは笑いたくても笑いようがない。
意味やテーマを持たないシュールな芝居は、
一見楽なようだが、非常に難しい。
なにせ「意味やテーマの提示」という一つ表現手法を封じるということなのだ。
この路線で続けていくならば、
「こういう演劇もたまにはアリだよね?」ではなく、
「これが本当の演劇の形だ!」と思わせるような、
その最上級の作品を追求してほしい。