日々是劇評
関東圏内で観てきた舞台について率直に感想を書いています。自分用の観劇備忘録みたいなもんなんで遠慮なく辛口な批評もしています。
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カプセル兵団 「DUST SHOOTERS ~ダストシューターズ~」
【作・演出】
吉久直志
【キャスト】
吉久直志、長沢美樹(劇団ヘロヘロQカムパニー/アトミックモンキー)、周晴奈、
北出浩二(teamSPITFIRE)、こぶしのぶゆき(賢プロダクション)、青木清四郎、
遠藤公太朗、林智子(劇団ヘロヘロQカムパニー)、石神まゆみ、片山健(aflowtroupe~空~)、
林潔、瀬谷和弘、工藤沙緒梨、庄章子、小林美穂、中山泰香、矢島慎之介、
森澤碧音(DancecompanyMKMDC)、松岡美那、水野菜月、松本一平(ツラヌキ怪賊団)、
神里まつり、鶴家一仁、浦濱里奈、蓮岡沙羅
【日程】
2013年2月28日(木)~3月3日(日)
【会場】
笹塚ファクトリー
【チケット料金】
前売 3500円
当日 3,800円
※平日マチネは500円引き
※学生は1,000円引き
【公式HP】
http://www.kapselheidan.com/
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宇宙を駆ける賞金稼ぎダストシューター3人組。
政府の軍艦からの救援信号を受けてその救助にいってみるが、
船内で現れたのは銀色のスライムのような化け物だった。
銃が効かない不死身の化け物の前に絶体絶命の彼らだったが、
そこに500年前に伝説になった賞金稼ぎレイラが現れ一緒に脱出することに。
化け物の正体は細胞実験事故により変異してしまったレイラの元恋人だった。
レイラはその責任を取って自らにも不死身の細胞を植えて戦っていた。
化け物を軍事力として利用しようとする政府軍、
レイラの味方のふりをして全てを手に入れようとする植物系宇宙人。
様々な思惑の中でレイラは化け物となった恋人と一体化して
永遠に一緒になるという選択肢を選ぶ。
ダストシューターたちはレイラの気持ちを汲み取り、
人工的にブラックホールを作り出してその中に化け物を閉じ込めることに成功、
そしてまた新たな宇宙を目指して旅に出る。
ストーリー的にはだいたいこんな感じ。
カプセル兵団が得意とする「ビジュアルイマジネーション演出」は、
舞台上で役者達が自身の肉体で全てのセットやその状況を
スピーディーかつパワフルに表現するもの。
冒頭から巨大戦艦を組体操のような人間の塊で作り上げ、
漂流船の回収や、そこに突っ込んでいく小型船など、全て人間の体によって表現している。
ここの芝居を初めて観るお客にとっては衝撃的な演出であろう。
鮮やかな芸術性を持ちながらもどこかギャグチックな、非常に独特な演出。
自分はここの芝居を何度か観ているが、いつ観ても面白い表現方法だと思う。
しかし今回の作品の出来には苦言を呈さずにはいられない。
まず脚本についてだが、一言でいうと面白くない。
アクション主体のSFモノを描くにあたって、おそらくあえてシンプルな話にしているのだろうが、
それにしてもひねりがなさ過ぎて、展開がほぼ予測できてしまう。
レイラと化け物の関係も、植物系宇宙人が裏切ることも、化け物の倒し方も、
ストーリーの肝部分があまりに予想できるベタ展開すぎて、
「話の先を知りたい!」というワクワクした気持ちがほとんど生まれなかった。
試合結果知ってるサッカー放送観てるような、そんな感覚。
緊迫した展開になって盛り上がってきたと思ったら、息抜きみたいなシーンが入るのもマイナス。
盛り上がりっぱなしだと観ている方も疲れるという意見をよく聞くが、
こういったジャンルの2時間芝居なら、息抜きなしで突っ走ったほうがいいように自分は思う。
緊迫と息抜きを繰り返されるほうがかえって疲れてしまう。
次に魅力的な役者の不在。
ダストシューターの男2人、救出された整備兵、植物系宇宙人あたりは
それぞれ個性が強くセンスも良くて面白いのだが、
そのほか、特に女性陣の層の薄さが目立った。
引っ張る人間が不在のシーンが多くて、
観ていて気持ちが切れてしまう時間がけっこうあった。
レイラも悪くはないのだが、いま一歩魅力的には映らなかったため共感できず、
感動するはずのラストシーンではあまり心が揺さぶられなかった。
あとミスの多さ。
役者がとにかくセリフをトチる。
SEとセリフがかぶる。
これだけ密度が濃くてきっかけも多い芝居だから
小屋入りしてから本番までそれはそれは忙しいであろう。
しかしそれは観るお客にとっては関係がない話。
芝居はナマモノであるから多少のミスはあるものと思っているが、
今回のミスの多さはさすがに許容範囲外であった。
ミスが出るたびに客席の温度が1度下がる。
最後にこれは個人的に気にかかった点なのだが、
ダンスパフォーマーの森澤碧音が目立ち過ぎている気がした。
表現が個として見事過ぎて、フォーカスを奪うのだ。
全体をぼやっと眺めてシーンを眺めていると、必ず目線が彼女にいく。
それは彼女の実力がズバ抜けて高い故のことなのだが、
重要なセリフを吐いている役者よりもその横で踊っている彼女に目がいってしまうのは
芝居全体として観た時にはやはりマイナスであろう。
もちろん彼女が悪いわけではなく、周りに問題があるのだが。
うーん、
なんだかマイナスな点を挙げ始めるとずらずら書いてしまうが、
このカプセル兵団は個人的には好きな団体であるし、
今回の作品もそのへんの劇団の作品に比べればよっぽどおもしろいのだ。
しかし、過去にカプセル兵団はもっともっと面白いものを自分に観せてくれている。
自分が好きなモノには右下がりになってほしくない。
映画が3DになりフルCGも当たり前になっていく時代で、
演劇の進化も必須と考えてそれを目指している集団。
是非とも右上がりに進化して、最高の作品を作り上げてくれることを期待したい。
P.S.
悪い点ばっかり書いてしまった気がするので好きだった点も書いとく(笑)
ラストの巨大戦艦内部に小型機で突っ込んでエンジンを破壊するシーンは、
まるでスターウォーズのデススター戦のようで本当に圧巻だった。
ゾクゾクして鳥肌モノ。
2時間通してこのクオリティのシーンが続けば良かったなぁ。
【原作】
藤田和日郎
【脚本・構成・演出】
吉久直志
【キャスト】
林智子(劇団ヘロヘロQカムパニー)・森澤碧音(DanceCompanyMKMDC)・岩田栄慶(キャスタッフ)・吉久直志・大島紘子(ジョイント・アクション・クラブ)・林潔・岡田勇輔・安藤洋介(アトリエ凹アルコーブ)・中山泰香・庄章子・金澤洋之(劇団熱血天使)・遠藤公太朗・永峰あや・青木清四郎・石神まゆみ・小川輝晃(狼煙工房/プロダクションエース)・西沢智治・工藤沙緒梨・中澤まさとも(有限会社トリトリオフィス)・船戸慎士(studio Life)・谷口洋行・周晴奈・小林美穂・瀬谷和弘・神里まつり・北出浩二(team SPITFIRE)・下尾浩章(劇団BRATS)・桜井悠子・塩路牧子(裏庭巣箱)・五十嵐勝平(チーム俺太刀)・矢島慎之介・山崎涼子・Ayano(リブロック)・松田鼓童・松岡美那・水野奈月・吉野菜々子・大塚陽・境秀人(株式会社 碗)・堀内寛嗣(株式会社 碗)/白鳥晴奈(株式会社 碗)
【日程】
2012年11月15日(木) ~ 18日(日)
【場所】
笹塚ファクトリー
【チケット】
前売 3,500円
当日 3,800円
平日マチネは500円引き
【公式HP】
カプセル兵団 公式HP
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言わずと知れたサンデーの名作漫画「からくりサーカス」、
それをカプセル兵団が舞台化したものだ。
半年前に「からくり編」と称して前編にあたるお話を上演しており、
今回は後編に位置づけされる「サーカス編」。
ストーリーは漫画でいうと真夜中のサーカス戦を終えたところまでが前回分、
今回は過去の回想の江戸時代後期、燃える遊郭のシーンから。
そこからヴァルマの襲撃、ギイとアンジェリーナの出会いの話へと進んでいく。
そして最終エピソードまで。
これは漫画でいうとコミックス20冊分に相当する。
15分休憩を含んだ上演時間3時間半の超フルボリューム作品だ。
正直言って序盤のシーンは見るに耐えなかった。
演出上どうしてもBGMの大きさが下げられないシーンがあるのは理解できるのだが、
どうにもこうにも、早口でまくしたてる役者の台詞が聞き取れない。
客席が3面あってこちらに背を向けた状態で役者がしゃべることも多いためなおさらだ。
アンジェリーナを助けに飛び込んできた正二郎の第一声が全く聞き取れなかった時点で、
「こんな調子の芝居をあと3時間以上も観るのか・・・」とテンションがガタ落ちしてしまった。
まわりの客席を見渡すと、やはり自分と同様の心情の空気を漂わせていたように思う。
しかし、マサルやナルミ、ギイ、などの魅せれる役者が出てくると空気は一転。
そこからは長い説明タイムが終わってストーリーが前に展開していくことも手伝ってか
一気にお客を引き込んでいった。
終わってみれば3時間半を長く感じない、
心を何度もドキドキワクワクさせられた面白い作品に感じられた。
とにかくテンポ命で、めまぐるしく場面を展開し、
やりすぎともとれるベクトルの小ネタを放り込んでも瞬時にシリアスに戻す、
いつものカプセル兵団の良さが出ていた作品だと思う。
やはり序盤が本当にもったいなかったなぁと思う。
最初の5分で一気にお客を引き込むような演出を入れてくれてたら、
3時間半はもっともっと短く感じることができたであろう。
演じる役者も物語後半に巧い人を固めた感があったが、
序盤にももう少し配分して冒頭から引っ張ってくれてたらなと思った。
あと地味な部分だが、客席のイスに備えられていたエアクッション。
これがびっくりするぐらいに快適で驚かされた。
3時間半座ってお尻がノーダメージってすごいわ。
お客の集中力を逃がさない影の立役者は実はこのエアクッションかもしれない。
コレ、どの劇場でも標準配備にならないものかね?
長い尺の作品やる予定の劇団様、是非ご検討下さい(笑)
【脚本・演出】
吉久直志
【キャスト】
ノーマルバージョン:
吉久直志・周晴奈・瀬谷和弘・岡田勇輔・工藤沙緒梨・森澤碧音(DanceCompanyMKMDC)・
遠藤公太郎・林潔・小林美穂・仁木紘・若林辰也(優演隊)・神里まつり・福山渚・
中森康仁(株式会社碗)
バカバージョン:
吉久直志・周晴奈・青木清四郎・庄章子・中山泰香・北出浩二(team SPITFIRE)・
熊手竜久馬(虹の素)・五十嵐勝平・石神まゆみ・大場トシヒロ・渕井達也・谷口明日菜・
國崎馨(スターダス・21)・西村太一(ジャングルベル・シアター)
【日程】
2012年7月12日(木) ~ 22日(日)
【場所】
八幡山ワーサルシアター
【チケット】
前売・当日 2,800円
2バージョンセット券 5,000円
※14日~16日限り、中学生以下3名までの同伴無料
【公式HP】
カプセル兵団 公式HP
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ゾンビに追いかけられた若者たちが逃げ込んだ屋敷は、有名な心霊スポットだった・・・。
屋敷の中で起きる怪奇現象の数々。
外にはゾンビ、家の中には幽霊が待ち構える絶体絶命の状況へ
様々な人々が逃げ込んでくる。
はたしてこの状況を打破することはできるのか!?
新しい演劇の可能性に挑戦し続ける劇団、カプセル兵団が
「飛び出す演劇」「ビジュアルイマジネーション」に続き挑戦するのは「ダブル演出」!!
同じ脚本を使い『ホラー』と『コメディ』相反するジャンルの作品を作り上げる!
超実験的シチュエーションホラーコメディ。
以上が公式HPより転載した公演詳細。
ノーマルバージョン、バカバージョン両方を観たが、
まぁ、普通に面白かった。
シチュエーションコメディとしてスピーディーに展開していて、
笑わせどころの数も質も良し。
頭を使わずに目に映るものを純粋に楽しめばいいという、単純な作品に仕上がっていた。
いや、うん、十分面白いと思う。
そのへんの劇団が作る作品の水準にはちゃんと達している。
・・・しかしやはりこれは言いたい。
カプセル兵団ってもっとスゴい事やってくれる団体じゃなかったっけ?
「え!?マジで!?」みたいな演出を毎回見せてくれる団体じゃなかったっけ?
これは高望みし過ぎだろうか。
「カプセル兵団の作品」を期待していた者としては今回の作品、不満が多かった。
まずはストーリー的な部分。
「オール恐怖大行進」というわりには、恐怖を演出できていたのは序盤の迫り来るゾンビぐらい。
幽霊はそのへんのお化け屋敷程度の演出でしかないし、そのシーンも少ない。
宇宙人にいたっては完全に登場時からギャグ要素でしかない。
(個人的には感情が読めないリトルグレイみたいなのを期待していたのだが)
そしてそのあたりから完全に話がコメディ的にまとまり始めてしまい、
それまで怯えていたはずの登場人物が、ゾンビも幽霊も全く恐れないモードになってしまったのだ。
いくらコメディーを目指していたにしても、それまでの恐怖が途中でなかったことになってしまうのは
やはりいただけない部分だと思う。
観ていたこちらも、序盤はその世界観と迫りくる恐怖にちゃんと引き込まれていたのに、
途中から急に現実味のないギャグ世界としてしか見れなくなってしまった。
そうなってしまうと、事件解決に向けて行動している彼らからは全く必死さが伝わってこなくなり、
ストーリー全体が急速に陳腐で薄っぺらいものになってしまう。
あと脚本にご都合主義部分やツッコミどころが多過ぎる。
宇宙人を噛むだけでゾンビ化が治ったり、
何の医療設備もない場所で特効薬が作れたり、
幽霊が館と無関係なのに地縛霊だったり、
序盤あんなに恐怖だったゾンビを、終盤は皆あっさりかいくぐって行動していたり、
工業高校の生徒がいとも簡単に故障したUFO直せたり...etc。
コメディだから細かいトコはいいや、って目をつぶってもよい量を超え過ぎていた感がある。
これも話が陳腐に感じられてしまう要因になってしまった。
そしてラストの幽霊との約束を果たすシーン。
シーンとしては良くできているし感動もできる。
しかし個人的にこの作品の中ではものすごく浮いているように感じてしまった。
ホラーコメディってことなら最後にこのような形で感動を盛り込む必要はあったのだろうか?
焼肉定食をいままさに食べ終わりそうなタイミングで「あ、これサービスです」って
大きな海老天を出されたような、そんな感じの蛇足感。
そもそも幽霊が劇中で影が薄かったのもあってか、
余計に無理やり感動要素を付け足したような印象を受けてしまった。
脚本、もしかしてだいぶ迷走したのだろうか?
実際どうだったのかはわからないが、
まとめ方に苦労してとりあえずこういう着地点におさまったって感じがする。
次に演出面。
「ノーマルバージョンとバカバージョンの2パターンの演出!」
というのが売り文句だったのだが、
蓋を開けてみれば小ネタを詰め込んでいるかどうか、ってだけの違いだった。
「全く違う演出」って言葉を取り違えると肩透かしをくらってしまう。
そして出来としてはノーマルに関しては全く問題がないのだが、
バカのほうはちょっと難アリかなと思った。
元々コメディ要素が多い台本にも関わらず強引に小ネタを入れてきているので
台本上の本来の笑い所を殺している場所が多かった。
あとギャグの多さによって登場人物の真剣さがなくなるので
館に追い込まれている緊迫感が皆無になり、ストーリーに引き込まれづらい。
そのわりに終盤はまとめに入るためなのか極端にギャグが控えめになり、
ノーマルと同じように繰り広げられるラストの感動シーンにものすごく違和感を感じてしまう。
このへんがおもになんだかなぁと思ってしまった点。
ノーマルを先に観た後でのバカならパロディ版として楽しめる気がするが、
観る順番が逆だったり、バカだけしか観ない人は楽しみづらいのではないだろうか。
うーん、このあたりどうなんだろう。。。
長々と書いてしまったが、先にも書いたとおり十分面白い作品だった。
しかしこの劇団の持っている自力からすると、
今回の作品はいつものクオリティまで届かなかった 『失敗作』 に思える。
バージョン分けなどせずに、十分に時間と労力をかけて、
1本の作品を作ってほしかったなぁというのが正直な感想だ。
目線が厳し過ぎるかもしれない。
しかし、カプセル兵団だからこそ、もっともっと上のレベルを期待したい。
絶対にそれができる集団のはずなのだ。