日々是劇評
関東圏内で観てきた舞台について率直に感想を書いています。自分用の観劇備忘録みたいなもんなんで遠慮なく辛口な批評もしています。
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劇団熱血天使 第7回公演 「一筆入魂 締切追うもの、追われるもの」
【作】
水谷暖人
【演出】
高橋祐介
【キャスト】
大坂真璃子、金澤洋之、菅沼萌恵、鈴木紀進、大柿誠、
北川瞬((株)SPARK)、菅沼哲、高山史也、田山楽、丹呉麻里江
水口早香、三橋忠史(ダブルアップエンタテインメント)、宮尾知里
吉田彩花
【日程】
2013年4月17日(水)~21日(日)
【会場】
八幡山ワーサルシアター
【チケット料金】
一般 \3000
学生 \2800
平日割・初日割 一般2,800/学生2,500
【公式HP】
http://ameblo.jp/nekketsu-tenshi/
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芥川龍之介が新思潮を刊行する1914年前後のお話。
創作に対しての芥川、菊池、久米、松岡らのそれぞれの想い、
彼らに関わる編集者や婚約者、妻の想い、
それらをうまく絡めた人間ドラマを
「無名作家達の一日」、「或る求婚者の話」、「締切戦争」、「話の育て方」の
4本立てのオムニバスで上演している。
チラシやパンフにはオムニバスと書いてあったが、
実際にはこの4つの話に出てくる登場人物は共通で、時系列もそのまま並んでいるところから、
4場構成の1つの演劇作品といったほうがいいかもしれない。
1話目は、書きたい作品と売れる作品との確執、
そしてその才能に悩む若者たちの話。
2話目は、友人の婚約者に執拗に言い寄られる作家のドタバタ劇。
3話目は、締め切りに終われる作家を囲む編集者達と妻とファンの、
これまた多人数型のドタバタ劇。
4話目は、自分の才能がなかなか認められず作家の道をくじけそうになっている若者を
珈琲店の女将が叱咤激励する話。
個人的には2話目のコントチックなおもしろおかしいやりとりが好きだった。
登場する3人の役者はどれも個性的でおもしろく、
ボケとツッコミのテンポの良さは非常に秀逸で、大いに笑わせてもらった。
作品としてのまとまりが一番良かったのは3話目かな。
締め切りを守らせつつも作家を持ち上げたり、作家の将来を考えたりしている編集者達、
作家の一ファンで、その作家をダメにしないためにいろんな努力をみせる女性、
作家の妻という立場のおかげで締め切り前のドタバタ騒動に巻き込まれている奥さんの心情。
そしてアイデア不足に悩み苦しむ作家本人。
たぶん、観ていたお客さんも実際に登場人物のどれかに近い立場で仕事をしていると思うので、
どこかのポジションに感情移入できたのではなかろうか。
1話目は正直イマイチ。
会話劇なのに妙に元気にハキハキと声を張り上げる役者が多くてちょっとゲンナリしてしまった。
登場人物が沢山いたわりには引っ張れる役者は不在で、
お客を惹きつけなければいけない1話目としては残念な仕上がりに感じてしまった。
4話目は珈琲店の女将の安定した演技力に支えられて
すっきりとまとまっていた。
登場人物の役割とキャラ立てがしっかりしていたせいもあるだろう。
見やすいし、話的にもしんみりと心に染み込んでくる良いお話。
全話通して全体的にみれば、しっかりと作られていてテンポもよくて
素直に楽しめる作品だったと思う。
ちょっとだけ気になったのは「一筆入魂」というタイトル。
最後の話のまとめを平たく言うと、
「苦しいことをなぜ続けることができるのか、それは今日だけはがんばるを毎日続ける」
といった旨の内容だったのだが(ちょっと平た過ぎる言い方で語弊がありそうだが)
自分が持っている「一筆入魂」という単語のイメージとはちょっと遠い気がした。
その点だけ観劇後に違和感として残っちゃったかな。
しっかりとした地力のある集団だと思った。
次の公演も楽しみにしたい。
劇団宇宙キャンパス19th act 「つきあたりを見上げれば…」
【作・演出】
小林ともゆき
【キャスト】
A日程
佐藤祐治、小林真弥、柳瀬翼、芳賀信吉、 石戸サダヨシ、脇本昌彦、キムラシゲオ、
平元佳奈、塩崎こうせい(X‐QUEST)、大多和愛子(FEVER DRAGON NEO / MediaFactory)、
玉渕正紀、かわもとゆうき、立石亮、かわらじゅん(オフィスジョイ)、宮崎優美、
吉田弥生、SUMIO(Re:Play)、品川知美、神越夢美子(ベストポジション)、
えんどうたいと、谷口洋行、鎌田英幸
B日程
菊田健吾、キムラシゲオ、上岡一路、弦巻秀人、田口暁子、平元佳奈、
大田原りな、柳橋龍、岡本弘実、一石よしふみ(JACKPOT)、
美濃宏之(劇団東京ルネッサンス)、安見謙一郎(UDATSU)、矢野和明、
弥浦ちえ(BuddySystem)、田代ナオ(帝京大学ヴィクセンズシアター)、
吉村和紘(㈱マック・ミック)、尾鷲知恵(マグネシウムリボン)、
仲澤剛志、渡辺ルナ、小林勝弥(薫風武隊)、鈴木俊哉、
山本ともだち(バッカマンズ)
【日程】
2013年4月4日(木)~10日(水)
全10回公演
【会場】
吉祥寺シアター
【チケット料金】
前売り券 3,000円
当日精算券 3,300円
当日券 3,500円
学割 2,000円(高校生以下・要学生証提示)
リピーター割引 2,000円(半券持参)
【公式HP】
http://uchucan.web.fc2.com/
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とある繁華街の隅にたたずむ寂れた喫茶店でのお話。
そこはグータラな従業員たちが働いていて、
訪れるお客もゲイバー務め、売れない芸人、ギャル、キャバ嬢、ヤクザなど
一風変わった人種ばっかり。
お世辞にも喫茶店として立派とは言い難いお店だったが、
みなそれなりに楽しくドタバタの毎日を送っていた。
そこにタチの悪いホストとそれに騙されているキャバ嬢がやってくる。
そのキャバ嬢の友人が彼女をなんとか助けてほしいと訴え、
店員とお客みんなで協力、うまく解決する。
また平穏な日常が流れるかと思いきや、
そこにお店をカジノにするために別の大物ヤクザが乗り込んでくる。
すでにオーナーとは話がついていて、喫茶店の閉店を強要されてしまう。
店を愛している店員と客はなんとか店を守ろうと画策するが、
結局はうまくいかず、店のケツもちヤクザが大物ヤクザを殺害(?)してしまう。
店は結局閉店へ。
しかしそれから幾らかの時が過ぎ、また新しくお店を開くことに。
懐かしのメンバーが集まっていい感じで大団円。
まぁ、流れとしてはだいたいこんな感じのストーリー。
いくらなんでも脚本が陳腐すぎると思った。
プロット書いてんのかなコレ。
いきなり頭からノープランで書き出したような陳腐さ。
20人以上も登場人物がいるのに人間関係の描写は浅く、
おもしろおかしい人達とりあえず並べてみましたって印象を受けた。
放り込んでくるネタも、ややウケかスベッてるものが多くてイマイチ。
前半のキャバ嬢を救う話と後半の乗っ取り騒動が完全に独立してるのも違和感があった。
2つのエピソードが全く連携していなくて、2本立てオムニバス公演見せられた感じ。
こんなだったら、どっちかに絞って膨らませたほうが良かったのではないだろうか。
要素を詰め込みすぎてグダグダになってる失敗はいっぱい観てきたが、
エピソードの連携が全くなってなくてグダグダになってるパターンは珍しい。
あと主人公のマサキに全く共感できなかったのが痛い。
「頭が良くなくてむこう見ずで自分の信じたことに真っ直ぐ突き進む」ってだけならいのだが、
そこに「身勝手さ」と「都合の良さ」と「思いやりのなさ」が入っているため、
どこからどうみても完全にゆとり全開の「ヤな奴」でしかないのだ。
状況を読まずにあれは嫌だ、これは嫌だ、って反抗ばかりしていて、
でも行動は人頼みで自分自身の力ではなにもしない。
そんな人間ががラストシーンでどんな素晴らしい独白をしたところで
お客はシラけるばかりだ。
そしてラストシーン。
なんであっさりお店復活・・・?
あれだけ悲壮感たっぷりに解散していったのに。
何か大事なセリフ聞き漏らしたのかなと思ってこりっちの感想を眺めてみたが、
やはり皆同じような印象を受けていた。
2時間超えで、正直削れるシーンも多かったのに、なんで結末がこんな描写不足なんだろうか。
この理不尽なハッピーエンド、登場人物がテンション高く喜べば喜ぶほど
こちらにはキツネにつままれたような後味の悪さが・・・。
しかも後から知ったのだが、この作品は再演らしい。
もし初演でもラストシーンが同じ展開だったのであれば、
アンケート等で同じような否定的な意見がいっぱい寄せられていただろうし、
脚本家以外の劇団メンバーもこの部分に疑問を持たないわけはないと思うのだが。
再演なのに何も練らずにこれを提出してきたのであれば、劇団としての在り方に失望する。
さらに厳しい言い方になるが、そもそもこの脚本、全体的なクオリティが低過ぎる。
はっきり言ってこの本は「再演するに値する本」でないと思う。
なぜ再演しようってことになったのだろうか。
店長役や、ヤクザの兄貴分のほう(ケツ持ち側と広域側の両方とも)あたりは
個人的にその演技に好感を持てたし、
セットは豪華で、オープニングの映像と役者のコラボも良質。
良いところもあっただけに余計に残念に思う作品だった。
劇団IQ5000 「Big Bell」
【作・演出】
腹筋善之介
【キャスト】
腹筋善之介
【日程】
2013年3月8日(金)~3月10日(日)
【会場】
中野ウエストエンド
【料金】
前売 3,500円
当日 3,700円
【公式HP】
http://www.iq5000.com
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劇団IQ5000の劇団員全員が出演している「Mr.VeryGoodMan」とは別に
同じ週で上演される「Big Bell」は、腹筋善之介の1人芝居。
1人で200を越える登場人物を全て演じきる。
舞台は「Mr.VeryGoodMan」と同じクラウド・アイランドで、時は100年前。
まだこの島が無人島だった頃、1人の男が流れ着く。
彼の名前はビッグベル、海賊との争いの中で海に落とされてここに漂着したのだった。
記憶を失った彼は孤独に悩み、1人で空想のペットなどを作って時を過ごしていた。
その後次々に新しく人々が漂流し、それを保護していくうちにひとつの街が形成される。
それなりの暮らしができるまでに街が発展したとき、島は海賊の脅威にさらされる。
ビッグベルは仲間たちと策を練ってその海賊の撃退する。
あらすじ的には大体こんな感じ。
1時間40分の1人芝居で、パワフルかつスピーディーに話が展開していく。
その熱量は半端なく、お客をたった1人で引きこみ続けるその力は素晴らしい。
そのぶん消費カロリーも半端なく、開始10分で腹筋氏はすでに汗だくだく。
話によると1本やると体重が5kg落ちるらしい。
あながち冗談ではないなと思った(笑)
でも主軸の話は、全体の上演時間の中で約4割程度。
残り6割は、暖流と寒流の野球対決から分身魔球攻略回想シーン、女将さんと板前さんの絡み、
戦闘機1号、2号、3号、源氏ガニと平家ガニの戦いなど、
完全に本筋から脱線したネタオンパレードの時間だった。
まぁ、普通に考えたらふざけすぎと言われてもしかたがない。
しかしそのバカバカしさが突き抜け過ぎていて、とにかく圧巻なのだ。
型をしっかり持っている人間の「型破り」は観ていて本当に楽しい。
演出的スキル、役者的スキル、どちらも最上級のパフォーマンスであった。
惑星ピスタチオ出身でいまでも活躍している役者は非常に多い。
いつまでも彼らには現役で最上級のパフォーマンスを提示し続けてもらいたいものだ。