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日々是劇評

関東圏内で観てきた舞台について率直に感想を書いています。
 自分用の観劇備忘録みたいなもんなんで遠慮なく辛口な批評もしています。
※サイト移転しました。

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STUDIO HeadZ 8月公演 「鴉命(ウンメイ) 言葉と景色と色の中に」

【脚本・演出】
Yukey-A

【キャスト】
<Aキャスト>
堀米慎、大部恭平、佐藤文彦、松藤拓也、木村峻、山本恭平、丸尾将也、佐藤祥太、塩島弾、
浅野東(フレンズプロダクション)、早島敦也(劇団ORIGINAL COLOR)、
井上直輝(企画ユニット KAMAYAN)、加藤淳、下祐平、前田大志、前田裕己、
若林康路(劇団NoN-SpoiL)、須藤勇輝(アルファコア)

<Bキャスト>
新井惟、三浦恵莉香、久田幸恵、川島唯、宇都恵利花、三輪紋子、ゆいともえ、赤月茜、
小澤知佳、小出美紀(EARLY WING)、小林美歌(アトム座)、理沙(STAR)、山田志保、眸、
岩崎奈菜(アルファコア)、加順遥、森下理沙(スピカエージェンシー/電脳シロアリ・プロジェクト)
 
【日程・会場・チケット】
<東京公演>
高円寺明石スタジオ

2012年
8月16日(木)18時半A
8月17日(金)18時半B
8月18日(土)12時A / 18時半B
8月19日(日)12時B / 17時A

前売 3,000円
当日 3,500円

<札幌公演>
札幌シアターZOO
9月1日(土)13時 / 17時

前売 2,000円
当日 2,500円

【公式HP】
STUDIO HeadZ 公式HP

============================

ひとつの公園内で起こる4つの話のオムニバスのような構成になっていて、
それぞれの運命をカラスなる異質な存在が傍観しているお話。

1.自分が目を離した隙に弟がさらわれて死んでしまったことを後悔し続ける少女と
 それが気になった少年、その友達、少女の父親の物語
2.二人の女性とそれを弄ぶ浮気男、そして女性を追いかけるストーカー男の
 ドロドロの愛憎劇
3.歌手の夢を追うあまり悪徳プロダクションに体を売ることになってしまう少女、
 その友人、悪徳プロデューサーと仕事に疑問を抱く部下の話
4.水商売に染まり自分の笑い顔さえ忘れてしまった女性と
 その友人、田舎の幼馴染の話

2、3、4、は登場人物全員が死んでしまうという悲惨な結末に。
カラスはそのたびに悲しそうに歌う。
最後のまとめになる1では救いがあり、
過去を悔やんでも仕方ないという前向きな気持ちになって万事解決。


あまりにもざっくりだが、おおまかにはそんな感じのお話だった。



・・・うーん、キツかった。


役者はかなり若い者ばかりで、みんな演技も歌もダンスも技量不足。
声量は小屋のサイズに見合っていない役者が多かったし、
台詞の表現ももう棒読み同然の者が半数を占めた。
歌は素人の自分でもわかるぐらい音程もリズムも外れているときが多くあったし、
ダンスはお世辞にも揃っているとは言い難い。


まぁ若い役者の集まりだし、芝居の熱量はあったのでそのあたりは大目に見ようと思うのだが、
いかんせん何とも許容しがたいのが脚本・演出である。

まずカラスの存在。
タイトルも「鴉命」、オープニングの群唱でもカラスについて仰々しく語っているのに
芝居中の役割がただの傍観者というのは一体何なのか。
登場人物のやりとりに対して極めて人間的な安いリアクションをしているため
特別な存在感も感じず、ただのデバガメの人にしか見えなかった。
最後までシーンの切れ目で同じ歌をひたすら歌うだけのヘンな人。

次に全員死亡する悲劇の3連発。
「悲劇を続けておいて、最後の1の話も悲劇になると思いきや・・・」 みたいなのが狙い?
しかしひとつひとつの話のクオリティが低すぎて、コントにしか見えなかった。
話は何十年も前からよく見かけるよねってぐらいにベタなものばかりだし、
つっこみどころがあまりにも満載すぎる。

一目でおもちゃの引っ込むやつってわかる小道具のナイフ、
爆弾持ってるストーカーに「やめてー!」って言ってわざわざかぶさりに行く女性、
タレントが用済みになったらポンと拳銃取り出して始末しようとする悪徳プロダクションの人、
それを阻止するためにこれまたポンとバッグから拳銃出す部下の人。
友達が薬で自殺したら、その場でそれを追いかけて一緒に死ぬ友人と田舎の幼馴染。

刃物と爆弾と銃と毒薬が飛び交って、こぞってみんな死んでく、
なんてデンジャラスな公園。
いわくがつきすぎて閉鎖んなるわそんなとこ(笑)
やってることが安っぽい上にムチャクチャ過ぎる。

あとどのシーンでもほぼ誰かが覗き見をしているってのがシュール過ぎ。
しかもどう見てもその位置は見つかるよねって場所に隠れてるし。
「そこは芝居の嘘」なんて言葉でごまかせるレベルをはるかに越えているよ(笑)

そしてラストの全ての役者が登場してのダンスシーン。
最後、1の話でたしかにハッピーエンドにはなったが、
それ以外の悲劇で無残な死を遂げたメンバーが満面の笑みで踊っているのは
かなり違和感があって気持ち悪かった。
オープニングダンス、芝居本編、エンディングを通したテーマがさっぱりわからない・・・。


全体を通してみたとき、とにかくマイナス方向に気になる部分が多すぎた公演だった。
前売3,000円、当日3,500円取っていいクオリティにはほど遠いと言わざるを得ない。
発表会の域を出ていない。


あと公演そのものの話とはズレるのだが、公式HPの公演特設ページもひどい。
まず黒背景に濃いグレーの文字色を選択する神経がわからない。
ダブルキャストのはずなのにその旨はどこにも書いていないし、
メンバーのチーム分けも、どの日程がどのチームの回かも記載がない。
土曜15時っていう存在しない日程も誤掲載されているし、
「※両方、地図入れてもらえる?」っていうメモ書きみたいなものまで残っている。
会社概要ページのテキトーさや、プライバシーポリシーの内容もひどい。
お客を見据えたモノ作りのプロとして、意識が欠如しているとしか思えない出来。
公演うんぬんの前に、こういうところから何かズレてしまっているのは正直悲しい。



・・・いろいろ厳しいことを書いた。

おそらくこの記事は関係者の目にも止まり、ショックや憤りを与えてしまうであろう。
しかし一人の観客として見て、自分が正直に思ったことを書いている。
誹謗・中傷の意図は全くないことは信じてほしい。

こういう感想を持った人間がいたという事実だけはちゃんと受け止めてほしい。
それを踏まえた上で、次回、次々回と成長した姿を見せてほしいと願う。
表現者がそういう姿勢を失えば、業界は着実にお客を逃がし、
衰退していくだけでしかないのだから。
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芝居塾記念公演 「紅い海、剣と十字架 天草四郎物語」

【演出】
土井宏晃

【脚本】
重信臣聡

【キャスト】
菅本生、眞野基範、凪達矢、米澤良樹、堀浩隆、亜耶野、高橋範行、
須佐光昭、宮内咲希子、村上亮、山内琴実、秋山静、秋吉徹、織田裕之、
小林祐美、村井彩子、相澤亜紀、飯塚美花、石島英一、岩本恵、植松南美、
内田雄馬、大貫真代、海谷奈津実、木下恵美、木下春香、工藤正平、
坂口裕美、坂田奈津希、佐々木龍馬、渋谷由利香、鈴木翔子、鈴木美帆、
高橋広行、田黒杏海、田島利佳、橘沙和、田中清志郎、豊田結、西村隆主、
能勢さや、野中春菜、萩原詩穂、早川蓉子、林田淳、披岸克哉、二子石純、
松下泉、丸山夏輝、南千春、宮本綾乃、柳沢光華、和田志郎

【日程】
2012年
8月18日(土)、19日(日)

【会場】
神奈川県立青少年センター ホール

【チケット】
前売・当日 2,500円
高校生以下 1,000円
全席自由席

【公式ページ】
青少年のための芝居塾 公式ページ

============================

天草の乱のお話。

キリシタンが弾圧を受ける世の中で、天草四郎が人々の象徴になる。
しかし四郎の恩師であるジョアン宣教師が幕府に処罰されてしまったりと
状況は日々悪化していく一方。
最終的には篭城していた砦も幕府に攻め入られ、民衆ともども天に召される。

天草四郎が宮本武蔵の娘、凛と出会って恋に落ちたりなどの
オリジナル部分もあるが、基本的には世間で知られる天草の乱の史実通り。
人々の信仰、それ以上に生きながらえたいという感情、それを指揮する人間、
裏切る人間、いろんな人間の生き様を描いたミュージカル。


まぁ大体こんな感じの作品だった。


青少年のための芝居塾というのは、
一般公募で集めた青少年に、演技だけでなく裏方の仕事などを学ばせながら
ひとつの作品を作っていく創造型の事業である。

今回の作品は、神奈川で活動している「風雲かぼちゃの馬車」を責任集団とし、
合同でひとつの芝居を作り上げるというスタイルをとっているものなのだ。

そのため出演するキャストは若い10代20代の者が多く、
正直言って技量は皆高くはない。
そのため、それほど期待して見に行ったわけではないというのが本音だ。


しかしその期待は良い意味で裏切られた。

開幕と同時に始まる民衆の歌。
天草四郎を中心とした、弾圧に苦しむキリシタン農民の歌なのだが、
感情をむき出しにしたその歌はこちらの感情を大きく鷲掴みにしてきた。
思わず鳥肌がたつぐらいだった。

その後の芝居部分ではやはり技量不足の面が目立つところも多かったのだが、
感情を思いっきり解放して客席にガンガン飛ばしてくる皆の演技は評価したい。
演技としては下手なのかもしれない、
しかし間違いなくこちらの心を動かしてくる何かがあるのだ。

これは演出の力でもあると思う。
盆を使った場転もスピーディーで鮮やかだし、
民衆がうじゃうじゃいる多人数シーンも整っていて見やすい。
普通は多人数のシーンというのは綺麗に作り上げるのが難しいものなのだが、
きちんと整っていて、しかもその整理の仕方もあざとくないのだ。
だからこそ飛ばしてくる感情が遮蔽されることなくこちらまで届いてくる。


ただ、とても残念に思ったのはソロを歌う人間の歌唱力。
ミュージカルとしてソロを歌って許されるレベルの歌唱力を持つ人間が
ほとんどいないのはちょっとキツイ。
とくにメインの天草四郎や右衛門作が歌うたびに場が萎えるのは致命的に思った。

ちなみにこのソロで歌うような大きい役 (つまりオイシイ役) は
ほとんど塾生ではなく、風雲かぼちゃの馬車の人間が演じていた。
メインの役は実力のある者が演じないと芝居として成立しないのはわかるが、
それほど彼らが演技力・歌唱力についてズバ抜けている印象はなかった。
どちらかというと天草四郎役なんかは「なぜ彼が主役?」って思えるぐらい。

もっと芝居塾の塾生に大きな役をやらせてあげても良かったのでは?
将来を見据えたチャンスを与えるという意味でも。
もちろん私はこの企画公演の内情を把握しているわけではないので、
所詮何も知らない外部の人間の一意見でしかないが。




劇団メリーゴーランド 音楽劇「夢守の鍵」・ストーリーショー「エターナル・シー」

【脚本】
平野華子(音楽劇)、俵ゆり(ショー)

【演出】
仲由恵(音楽劇)

【キャスト】
羽良悠里、華波蒼、綾庭来美、夢音かりん、紗蘭広夢

【日程】
2012年
8月17日、18日

【会場】
文京シビック小ホール

【チケット】
前売・当日 3,000円
小学生以下 2,500円
全席指定席

【公式ブログ】
劇団メリーゴーランド 公式HP

============================

舞台は19世紀末のロンドン。
探偵事務所には探偵マイクとその従兄妹の占い師オリヴィアがいた。
そこに王族の秘宝を探して欲しいというリリー、
他人の夢に入れる不思議な鍵「夢守の鍵」を暴漢に奪われたため
探してほしいというアネットがそれぞれやってくる。

二つの依頼を進めていくうちに、リリーはいま失踪騒ぎになっている王女、
さらにアネットは理由あって王族を離れて育てられたリリーの姉妹であることが判明。
王族の秘宝=夢守の鍵であり、犯人はアネットのことを想って行動した
アネットの育ての父であったことがわかる。
親子愛、姉妹愛を描いた音楽劇。


第一部の「夢守の鍵」については、そんな感じのお話だった。


音楽劇と名乗っていたのでもちろん途中で歌が多数挿入されるのだが、
ミュージカルのようにガッツリ曲を歌うというよりは、
様々な箇所で台詞をリズムに乗せてしゃべってるって部分が多かった。
曲を歌うのではなく、台詞にリズムがついてるって感じ。
半オペラってニュアンスがピンとくるかもしれない。

台詞の発し方、立ち振舞い、そしてメンバーの芸名。
宝塚やそれに類似したものを意識しているのであろうか?
しかし正直スケールやクオリティの追いついてなさが目立つ舞台であった。

ちょくちょく台詞を歌としてリズムに乗って歌うわけだが、
「なんでこの台詞を歌ったんだろう」という違和感が終始感じられた。
ミュージカルなどにおいては歌に入るときは、必ず「歌にいくための空気」を作る。
登場人物の感情の爆発だったり、シーンの緊張感だったり、
何かしら歌にもっていくための動機が必要なのだ。

しかしこの舞台では当たり前に空気を吸うように台詞を歌い、
「この台詞は普通に喋るけど、この台詞は歌う」、その理由が全く見えない。
理由なくメロディに乗せただけの台詞にお客が心を打たれるわけがない、
そんなこと考えなくてもわかりそうなものなのだが。

「音楽劇」の定義は昔からあいまいであって、
どれぐらい歌うのかという部分も明確化はされていないが、
どうも損なやり方を選んでしまっている感がいなめなかった。


第二部のストーリーショーでは芝居部分は最小限にされ、
ほぼ歌とダンスのみで構成された40分程度のショーになっていた。

照明がやや地味だったことと、キャストが5人しかいないこともあって
少々こじんまりとしている感はあったが、方向性はしっかりとしていてまとまっていた。
曲もテーマを持って作られているためクオリティが高く、耳にも残る。


うーん、個人的にはこちらのショーのほうをもっと膨らませていったほうが
劇団の公演としては良いのではないだろうか?
もちろんそんなことは余計なお世話でしかないのだが。

どうもメインである第一部がお客の心を動かすためでなく、
やりたいことやってる自己満足に見える部分が多かったもので。
「華やかな芸名で華やかな舞台をやりたい」だけではいずれお客は離れていっちゃうでしょ。




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