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日々是劇評

関東圏内で観てきた舞台について率直に感想を書いています。
 自分用の観劇備忘録みたいなもんなんで遠慮なく辛口な批評もしています。
※サイト移転しました。

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CP Project vol.4 「桜の園 チェーホフが描きたかったもう一つの桜の園」

【脚本】
アントン・チェーホフ

【演出】
小山裕嗣

【キャスト】
別府寛隆(企てプロジェクト)、永野知里、延田知香(企てプロジェクト)、高部恵子(劇団蒼い群) 、
村田次郎(劇団蒼い群)、佐藤まもる(紙芝居屋・まもる事務所)、ふくもとゆきを(劇団蒼い群)、
小川美紀子(劇団蒼い群)、三木美毅(47ENGINE)、梶原 航、鈴木克昌、
北本あや(アミュレート)、あゆむ(桃)、ひとみまさこ、大澤久美子

【日程】
2012年6月
8日(金) 19:00
9日(土) 14:00/18:30
10日(日) 14:00

【場所】
ラゾーナ川崎プラザソル

【チケット】
前売・当日 3,000円

【公式ブログ】
CP Project 公式ブログ

============================

言わずと知れたチェーホフの四大戯曲のひとつ「桜の園」。
散財癖の治らない女当主が久しぶりに田舎に戻ってくるが、
その桜の園と呼ばれる場所は借金返済のために売りに出さなければいけない状況。
そんな状況の中で女主人の兄、娘、幼女、召使、商人などが繰り広げる
感情にまみれた会話シーンがメインのお話である。


役者陣は比較的年齢が高めで、
戯曲内の登場人物の年齢に近いキャスティングだったので
違和感もほとんどなく自然に観る事ができた。
若い劇団がチェーホフを演ると大体この年齢の部分で無理が出てしまうことが多い。

演技も落ち着いた芯のあるセリフの吐き方をできる人間が多く、好感を持てる。
実年齢を積まないと出せないような、ナチュラルかつ個性的なトーンのセリフ回しは
聞いていて心地が良い。

舞台中央に吊られた桜の木は美しく、
音響・照明なども十分に評価できるレベルの作品だった。


・・・ただ、率直に思ってしまった感想は「退屈だなぁ」だった。

囲み舞台でほかのお客の顔が鮮明にわかる状況だったのだが、
集中力がなくなってしまっているお客はかなり多く目に入った。
寝てしまっている人もチラホラいたし。

なんていうんだろう、
上手いんだけど、あんまり面白くないって感じ?

普通にこの桜の園の戯曲を読むと、
借金に追われる危機的状況、実らないたくさんの愛情など
悲惨だったり、いたたまれなかったりといった不幸なシーンが多く、
一見「悲劇」の印象を強く受ける。

それゆえにこの作品を上演する団体は
人物描写をどれだけリアルに作れるか、
用意された沢山の長ゼリをいかに感情を込めて上手く読むか、
そういった部分に重きを置いて上演しがちである。
今回のこの公演もそういった部分を強く感じた。

しかし、この戯曲はチェーホフ本人いわく「喜劇」なのである。

登場人物は全員人として何かしら大事なネジが足りていない。
劇中で描かれるたくさんの恋はどれも歪んでいて波乱に満ちている。
この戯曲、喜劇として成立させる面白い要素はちゃんと用意されているのだ。

「喜劇として成立させること」を意識するかしないかで
会話シーンは全く別の弾み方をみせる。
そうなって初めて観客は「退屈」を感じることなく見ることができるのだ。
チェーホフをやる上で一番大事な部分は私はそこだと思っている。


あと囲み舞台の意識が低い人が多かったのが残念だったかな。

客席と舞台が一方向で向かい合ったオーソドックスな舞台では、
セリフを前に飛ばす、無駄に背中を向けない、奥足奥手など
基本的な約束事がある。
いわゆる「ちゃんと前を意識して芝居する」ってヤツだ。

囲み舞台になれば全方向にお客がいるため、どちらが前という概念がなくなる。
しかしこの状況は「前を意識しなくていい」ではなく、
「全方向を意識しなければならない」が正しいのである。
勘違いして前者の意識になってしまっている役者がチラホラと。
こういうのは意識の持ち方次第ですぐに直るものなだけにちょっと残念。

いろいろ書いてしまったが、
集まっている人間の地力は高く、評価できる団体だと思う。
今回は3年ぶりの復活公演だったみたいだが、
是非とも定期的に公演を続けて、より上を目指してほしいなと思った。


P.S.
今回の芝居のタイトルに「チェーホフが描きたかったもう一つの桜の園」という
サブタイトルがついているのだが、
蓋を開けてみれば、ノーカットの初稿版を使用したってだけのことで
他でもよくみかけるオーソドックスなチェーホフの桜の園だった。

このサブタイトルを見た人は皆
「いままでどんな団体もやってこなかったようなアナザーな演出の桜の園」を期待してしまう気が。
コレ思うの私だけ?
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人衣企画プロデュース公演 「やっぱりカフェが好き」

【脚本】
江頭美智留(劇団クロックガールズ)

【演出】
高坂雄貴(いと、まほろば)

【キャスト】
青木 梨乃、安藤 友美、大嶋 伸治、大貫 真代、大山 武史、岡本 伊津美、小田 直輝、葛西 祥太、
斉藤 慎介、齋藤 弘樹、坂本 大河、佐々木 義紀、里見 駿、佐山 知範、銀 元太、高橋 良行、
殿 あまね、永田 瑛、長井 鈴菜、根本 玲那、馬場 日菜子、廣田 亜也加、藤原 理恵子、
美川 奈穂、宮内 結、守屋 惠美、山藤 桃子

【日程】
2012年5月
23日(水)19:00【\(^o^)/】
24日(木)19:00【/(^o^)\】
25日(金)14:00【\(^o^)/】19:00【/(^o^)\】
26日(土)13:00【/(^o^)\】18:00【\(^o^)/】
27日(日)13:00【\(^o^)/】18:00【/(^o^)\】

【場所】
ラゾーナ川崎プラザソル

【チケット】
前売 3,000円
当日 3,500円
両チーム通しチケット 5,000円

【公式ブログ】
人衣企画公式HP

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川崎にありながらも見栄で「カフェ代官山」と名乗る喫茶店。
店内はいつもガラガラで閑古鳥状態。
そんな状況を打開すべくマスターとバイト君が斬新な喫茶店のアイデアを捻出する。
それらのアイデアひとつひとつをオムニバス形式で短編構成的に繰り広げていく。
韓流ドラマなりきり喫茶、お見合い喫茶、擬似家族喫茶などなど。
最終話ではカフェに関わった人々が全員集合して閉店パーティーを行うが、
劇団喫茶ならぬ、喫茶店劇団を立ち上げることになって、めでたしめでたし。



脚本はかの「ごくせん」や「1リットルの涙」を手がけた江頭美智留氏。
期待が持てるかと思っての観劇だったが見事にカウンターパンチを喰らってしまった。
いくらなんでもクオリティが低すぎる。


まずは脚本に関して。
短編構成にしたのは効果的でなかったのではないだろうか。

さびれた喫茶店を盛り上げるために試行錯誤していくメインテーマがあるにも関わらず、
それぞれの話は完全に独立していてほとんど結びつかず、
全話に通して登場する店長達も人間的成長もしなければ人間関係の発展も見受けられない。
そもそもお店のためのアイデアの試行錯誤も真剣にやっている感が薄く、
見ていてちっとも共感できないのだ。
最後に登場人物全員出して、「なんだかうまくまとまりました、チャンチャン♪」では
あまりにお粗末な展開だと思う。

唯一、話として比較的まとまっていた家族喫茶の話をもっと膨らませて、
1本の90分芝居を作ったほうが良かったのでは?


次に演出面。
演劇のセオリーを破ったかなり破天荒な演出だった。

現代劇にも関わらず、当たり前のようにイロモノが多数登場するのだ。
冒頭ではGガンダムの司会の人を模したキャラクターが語り、
ダンボール製の地獄大使、ダンボール製の巨神兵とクシャナなんかも出てくる。
小ネタでは聖闘士星矢ぶっとび、プリキュア、ライダーキック、ワンダースワンなど
アニメやゲーム寄りの嗜好が見えるものが非常に多かった。
とにかく小ネタ満載で、小ネタ見せるために脚本にストーリー足してると思われる部分も多数。

個人的にはセオリー破りの作品は見慣れているし、好きでもある。
しかしセオリーを破るなら、セオリーを破るだけの「何か」が必須である。
その「何か」というのは、例えば底抜けに面白いとか、度肝を抜かれるとか、何でも良いのだが、
この作品に関して言えば、そういった惹かれる要素は全くなし。
ただ「セオリーを破っただけ」で終わってしまっているのだ。
これではお客はただ引いてしまうだけである。


そして役者面。
オーディションで集めたらしいが、技術レベルが低い役者が多すぎる。
30人近くキャストがいて、見れる演技をする役者がたった数人というのは正直キツイ。

セリフは叫び声的な聞き取り辛いトーンを多用する人が多く、
単語の立て方、相手との距離の取り方など、見ていて気になる部分が盛り沢山。
あと、とにかく止まってしゃべれない役者の多さにびっくりした。
テンションと自分の感情に任せて気持ち良く演技していて、
それが他からどう見えているかを自覚できていないのがよくわかる演技。

役者として当たり前の技術があまりに備わっていなくて、
セオリー破るどころかセオリーさえできねぇんじゃねぇかテメェと言いたくなる。
(↑言い方汚いけど自分が感じた率直な感想です)


最後に制作面で1点。

この公演はダブルチームなのだが、そのチーム表記がコレ。
【\(^o^)/】【/(^o^)\】
読めないし間違えろと言わんばかりに似た表記になっている。
脚本、演出、企画、いったいどの部署が発案したの知らないが、
制作はこれGoサイン出しちゃダメじゃない?

しかも後になって初めてこの表記の読み方がわかったが、
【\(^o^)/】ナンテコッタバージョン
【/(^o^)\】オワタバージョン
というらしい。
これは劇場に設置されていた看板と、前説・後説でしか知らされない。
公式HPにもビラにも当パンにも記載されていないのだ。
いくらなんでもそれはお粗末だろう。


この人衣企画は今回が旗揚げだったらしいが、
いったい何を目指した企画だったのだろう?

正統派ドラマで名の通った脚本家を使い、
自分の嗜好ゴリ押しのコントを作る演出家を使い、
まだ実力の伴っていない若手役者を大勢使い、
誰に何を見せたかったのだろう。

失礼な言い方だが、企画として二回目があるとはとても思えない。
企画サイドがこの公演を本心でどう考えているのか。
機会があるなら聞いてみたいものだ。




HIME企画 1st Stage 「NINE to KNUCKLE DOWN(ナイン・トゥ・ナックル・ダウン)」

【脚本】
伊藤裕一(お座敷コブラ)

【演出】
岡崎涼子

【キャスト】
岡崎涼子、渕井達也、仁木紘、原田尚美、平田剛、大高史也、
鬼塚智子、山田うさぎ、石井隆平、石戸サダヨシ(劇団宇宙キャンパス/Re:Play)
帯包麻菜(張ち切れパンダ)、加藤千秋、藤宮潤(B-Box)、矢嶋美春

【日程】
2012年5月
17日(thu)◇19:00
18日(fri)◇14:00/◆19:00
19日(sat)◆14:00/◇19:00
20日(sun)◆14:00
◇鬼塚智子出演回
◆山田うさぎ出演回

【場所】
中野MOMO

【チケット】
前売り2800円
当日3000円
平日昼割2500円

【公式ブログ】
HIME企画公式ブログ

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ただなんとなく日常を生きているだけの平凡な青年(主人公)。
ある日、国の秘密治安維持部隊の隠密作戦に巻き込まれて不幸にも命を落としてしまう。
秘宝ともいえる人工心臓を埋め込まれて命を取り留めた彼だが、
その秘密保持のため治安維持部隊のエージェントにならなければいけなくなる。
主人公にしか見ることのできない人工心臓の元となった女の子の意識(幽霊的な感じ)、
その姉、その姉に好意を持つもの、研究者、人工心臓を狙う悪の組織の者達、
いろんな人間関係を描きつつ、
秘密治安維持部隊と悪の組織の対決を描く。


まぁ、大体そんな感じのお話。


脚本をお座敷コブラの伊藤裕一氏が書いているだけあって、
「あれ?ここお座敷コブラ?」ってぐらいに仕上がりが似た作品になっていた。
演出もそういう方向を目指したのだろうか。

かなりベタなSF話なわけだが、脚本自体は良いと思う。
急すぎず遅すぎず、良いテンポで展開していくので話は頭に入ってくるし、
お客を裏切る展開こそないが、王道SFって感じで楽に観ることができた。

しかしそのSFの世界観をお客に理解させる作業をはしょっていたのはかなりのマイナスだと思う。
この作品、内容がかなりアニメよりの世界なのだ。

アクションシーンはほとんど銃を使わない肉弾戦、
電撃を放つグローブや、指輪をモチーフにした多機能な兵器、大鎌などのアニメ的な武器、
正義側も悪側も隠密行動にはまるで向いていないカッコつけ系の衣装、
ピンチになると目覚めるエヴァ暴走みたいな力、
大事なはずの心臓を、手で簡単に鷲掴みで引き抜くムチャクチャぶり・・・etc。
これらは「こういう作品なんだ」っていうのを理解した上で見れば「設定」として成立するが、
世界観を理解していない状態でいきなり見せられれば「ツッコミどころ」でしかない。
最悪、厨二病作品にしか受け取られないことだってある。

SF映画を見れば、必ず冒頭で世界観を表現する時間が設けられているはずだ。
たとえば近未来SFなら、壮大な建造物がずらーっと並ぶ景観、タイヤのない浮かぶ乗り物、
2足歩行で歩くロボットたち、音声で料理も洗顔もやってくれるハイテク機器など。
ファンタジーSFなら、広大な大地とその上空を優雅に羽ばたく巨大なドラゴン、
森で自然と共存する原住民、魔法で火を起こしたり食べ物を出したりしている日常などなど。

この作品ではそういう「早い段階でお客に世界観を理解させる」作業が足りてなかった。
どんなムチャクチャな設定だろうが、それを世界観としてお客に認めさせてしまえば
その時点でお客は脚本の味方になってもらえるだけに、もっと大事にしてほしい部分だと思う。


あと気になったのは役者の個々の技量。
セリフをちゃんと聞かせることのできる役者が少なかった。
音量、間、スピード、トーン、単語の立て方、感情の乗せ方など、
セリフを吐く上でいろんな要素があるわけだが、いろいろと技量不足。

見せれる水準に至っていないセリフが発せられる度に、シーンの温度は確実に下がっていく。
テンポの良くどんどん展開させていくストーリー構成の作品なだけに、
この部分が大きな足枷になっていて残念に思った。

あと台本通りなのかアドリブなのかは知らないが、役ではなく役者本人でボケる系のネタ。
あれはその時点で役者本人がお客を引き込んで味方につけていて初めて成立する。
その技量がないならばやらないほうがいい。


いろいろ書いたが、総合的に決して悪い作品でなかった。
個性的な役者を集めている部分も評価できるし。
今回が旗揚げだということでこれからの成長に期待。




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